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司法書士高田直が、日々の業務で感じること、これはいいなと思ったことなど、思うままに書いてみます。
何か問題解決のヒントになれば、うれしいですが、無意味な内容も多いと思いますので、その場合はスルーしてください。
Facebookページなどもありますので、コメントもどうぞよろしくお願いいたします。
令和5年2月10日
最近、おかげさまで多忙を極めていまして、こちらの更新をしていませんでした。久々の題材は、認知症治療薬について。令和5年1月7日にアルツハイマー薬「レカネマブ」がアメリカの食品衣料品局で承認され、日本でも承認されるかといったニュースを目にしました。今までの認知症薬と違い、認知症の原因となっている「ベータアミロイド」タンパク質を除去できると謳われています。治療効果のほどはこれから判明することでしょう。
私が、認知症センターで相談員をしているころから、アリセプトはもちろん、玄米が良いとか、ポリフェノールだとか認知症の治療話は色々ありました。
私は医者ではないので、深くは申し上げることができませんが、ただ、認知症病棟から眺めていた風景として、ちゃんと衛生面に配慮し、日々人と接して、栄養バランスのあるものを食べ、夜睡眠をとる。いわゆる「健康的な生活」をしている人、またそういった健康的な生活の状態に戻すと、たとえ認知症に罹患しても、BPSDも落ち着いて、日常生活が送ることができるようになった方が多かったという印象を受けます。
認知症病棟で行われている特別な治療というのは、投薬よりも、当たり前の日常に戻すということに主眼が置かれていたように思います。当たり前の生活サイクルに戻すことが心理的に安定を生むのは、間違いないと思われます。
過度に投薬に期待するよりは、医療や介護サービスを生活に当て込んでいき、健康的で人間的な生活を送れるようにする方がより現実的でないかなと私は思います。
令和3年6月25日
フェイスブックにも記載しましたが、保佐・補助人には、成年後見人のような広範囲な代理権はありません。代理権=本人に成り代わって法律行為を行う権限。普通は委任状を書いて、渡した相手が自分に成り代わって、委任状に書かれた法律行為を代理で行うことができます。なので、保佐・補助開始時は、本人の問題に関して対応できる(限られた)範囲で代理権(や同意権)与えられます。保佐・補助の登記事項証明書には、どのような代理権が具体的に与えられているか、一つ一つ細かに記載されています。これが委任状みたいなもので、この記載された代理権の範囲で保佐・補助人は動くことになります。ただ、時たま代理権が抜けているときがあるので、基本代理権拡張の申立をおこないますが、まれに急に代理権外のことをしなければならない時があります(私は草刈りを自治会の人に至急対応するように言われましたが、自己所有不動産の修繕(写真で樹木の伐採等)する代理権がありませんでした)。その際は、本人に説明し、本人の法律行為に対して、保佐人が同意を行い、法律行為を完結することもあります。本人の意思が尊重されるために本来は、同意権を広く利用すべきですが、やはり事務処理的な側面からすれば、代理権で行う方が早いのは事実。代理権・同意権を使うかは、本当に個々の事例の緊急性度合と、あとは受任者の倫理観だと思います。
令和3年4月21日
保佐・補助人制度は、本人には判断能力があることを前提としているので、本人の行為は被保佐・補助(同意や追認すべき行為であったとしても)人であっても有効ということができます。その例として印鑑登録もその例だったと思います。かつて総務省の「印鑑登録証明事務処理要領」では、被成年後見人の方は印鑑登録ができない者として除外されていました。しかし令和元年6月14日に公布された「成年後見人等の権利の制限にかかる措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(略して「一括整備法」)により、同年11月19日に同要領が改正、各都道府県に通知され、各自治体の条例が改正されました。印鑑登録を受けることができない者が「成年後見人」ではなく「意思能力を有しない者」に改められました。ノーマライゼーションを謳う成年後見制度を利用して、逆に欠格条項に該当して、排除されるのにはなんだか違和感はありました。ただ、実際の現場で被成年後見人の方の印鑑登録を行う場面が出てくるかと考えましたが、ぱっとは思い浮かびませんでした。ですが、私的には本人の意思を実現する手段が増え、成年後見制度利用の敷居が少しでも下がってくれればと思いました。
令和3年4月9日
私が後見人にしている方が、今年2月の終わりに精神科病院から特別養護老人ホームに入所されました。入所して1か月経ちまして、認知症専門外来の再診に同伴しました。本当に見違えるほど穏やかな表情をされ、私の手を握っては、「手が冷たい!」と笑顔で話されていました。入所後は不眠や不穏勝ちだったのですが、徐々に生活にも慣れ、仲の良い友達もできたあたりから、落ち着いてきたとのこと。
この方だけに限らず、ワーカー時代に特別養護老人ホームに入所されて、認知機能や身体機能が改善された例を何度もみてきましたが、病院での生活と「生活の場」での生活はやはり違うと。規則正しい生活とバランスの取れた食事、人とのコミュニケーション等、こういった当たり前のことを特別養護老人ホームでは実践されていて、それが本人の能力を賦活させるように感じます。特に認知症で機能が低下してくる過程で、気持ち的に落ち込んでおられる方が多いです。そういった方に対して、特養のスタッフは、決して叱ることなく、できることは自分でやってもらい、できにくくなってきていることをサポートしておられます。そういったことで、認知症があっても、まだまだ自分は活躍できる。ひいては生きる力が湧いてくるからこその「笑顔」なのではないでしょうか。
令和3年1月2日
専門職が成年後見人に就任すると報酬が発生する場合が多いです。つまり報酬を請求しない、またはできない場合もあります。一応、成年後見開始の審判が確定した日から一年後までの報酬を請求することができます(つまり、就任後一年間は報酬付与請求するまで報酬がもらえません)。これは、一年間活動した報告書とともに申し立てます。もちろん、裁判所は、当然本人の資力を勘案して、報酬付与の審判を出します。本人に資力がなくても、ケースによっては債務整理やら遺産分割協議、不動産の売却などいろいろ動かなければならないこともあります。そういった場合、基本報酬プラス付加報酬を申し立てます。そうすると、これは私の私見ですが、たぶん各自治体が実施する成年後見助成基金の基準(在宅:月28,000円、施設入所:月18,000円)をベースに、色々活動に要した報酬を付加していると考えられます。
ただ、最近気になるのは、たくさん活動しても付加報酬がわずかしかなかったり、逆に金銭管理と月1回の面会で思っていた以上に報酬があったりと、書記官なのか裁判官によって大きく、額や報酬決定までの期間の長短が変わるようなきがします。そう考えると、楽して儲けようと考える「よからぬ後見人」も出てくるように思います。裁判所の監査といっても超厳格ではないので、私はリーガルサポートで年2回の監査はやはり受けておいたほうが、後見人のしての信用の担保にはなるのだろうなと感じる今日この頃でした。
令和3年1月3日
HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)とは、認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見することができるスクリーニングテストです。この評価項目は、見当識や記憶など9項目で、30点満点中で20点以下の方を認知症の疑いが高いと判断されます。
この検査、簡易的にできることもあり、どこでも誰でも行うことができる認知症評価検査です。ただ、「簡易」というだけあって、この検査、実施する人、場所、本人の状態如何で点数にかなりの差異がでます。なので、この検査だけで認知症か否かを決めることは性急です。認知症専門医はこれに、MMSEという心理検査でテストバッテリーを行い、脳のMRIやCTで画像診断(認知症の病気によっては、脳血流を調べる検査)を行い、診断します。あるケースで豊郷病院の認知症専門医成田実先生がおっしゃっていましたが、「状況によっては±5点の差はでる。」と。認知症外来の初診で、いきなり白衣の着た心理士さんに検査室に連れていかれ、初対面で緊張した状態で実施した検査結果にかなりの精度を期待できるかは、疑問があるところです。なので、長谷川式の点数のみが独り歩きしてしまうこともあるので、ちゃんと専門医でいろいろな検査を加えた上で、確定診断を受ける方がよいです。少なくとも私が関わる場合は、そのようにお願いしています。
令和2年12月28日
私は成年後見人として10人程度の方の財産管理をさせていただいております。かつて、病院でケースワーカーをしていた時も感じていましたが、自分が丁寧に被後見人等の方の財産を管理できるのは、せいぜい15人程度が限界と考えています。なので、ちょっとお受けできないケースも最近では出てきていますが。地域包括支援センターのケアマネさんからは20件程度受任できるのでは、なんて気楽にいわはりますが、私一人でできる能力は限られています。質を落としてまでケースを持ちたいとは思っていないです。質を落とす、例えば私は基本的にコロナが蔓延するまでは、月に1回、訪問して面会していました。それを半年に1回にするとか、通帳の記帳も3か月に一回程度にするとか。手を抜いてまではケースを増やす気にはどうしてもならないのですね。
「最近、親の物忘れがでてきたな。」と感じだしたら、検討しましょう。
高齢者福祉に精通している司法書士・精神保健福祉士だからこそ、相談できることがあります。
生前の対策はもちろん、認知症が疑われる、認知症を罹病した場合でも利用できる法的手続き、社会制度はあります。ただ、「手続きが多くて、複雑でどこから手をつけてよいかわからない」というというご相談も多くきかれます。当事務所にご相談いただければ、ご状況を丁寧に伺い、適切な老後計画をご提案させていただきます。万が一、ご不幸に合われても、司法書士として相続手続きも行わせていただくことが可能です。